2026/04/04 08:31
私の仕事の中で、一つの形として定着している「桃の染付」シリーズ。自分にとっても代表作といえる、思い入れの深い作品です。
絵付けの図案を考える際は、なるべく**「おめでたいモチーフ」**を選ぶようにしています。それは、器を手に取る方に、何か良いことが起こるようにという願いを込めているからです。
古来、中国で桃は不老長寿や子孫繁栄を象徴する、まさに吉祥のシンボル。その豊かな意味合いを、この作品に託しています。
瑞々しい桃の果実の周りに、染付の葉を隙間なく描き込む構図。染付の深い藍色を背景に置くことで、辰砂(しんしゃ)の鮮やかな赤がより一層引き立ち、果実の生命力を表現できると考えています。
桃の葉を一枚ずつ描き込んでいく作業は、時間と手間を要します。根気と集中力を維持しなければならない仕事は、単に「自分のため」や「仕事として」という意識だけでは、時に限界を感じることもあります。

だからこそ私は、こうした一つひとつの工程を**「神様に捧げる」**ような気持ちで向き合うようにしています。それは、決して手を抜かないように自分を戒めるためでもあります。(元来私という人間は怠け者で面倒くさがりなのです)
誰かの評価や対価ではなく、ただシンプルに目の前の仕事に集中することで、雑念が消え、清々しい心持ちで机に向かうことができる。
一つひとつの筆跡に、その時の誠実さが宿るように。
手にする方の幸せを願いながら、一筆一筆、祈りを込めて制作を続けています。
